共産主義的煮込みをつくろう!!!

IMG_4160

↑香菜が好きすぎるネコ山


「土豆烧牛肉」というジャガイモと牛肉の煮込みは別名「共産主義的煮込み」と呼ばれています。その起源はフルシチョフによる、中国の共産主義には水っぽいスープしかないが、ロシアの共産主義にはビーフシチューがあるという趣旨の発言です。中国は共産主義を実現するための経済的基盤がまだ整っていないという意味なのですが、いったいどうしてこんな嫌味度MAXな言い方に…!? こともあろうか貧困に苦しむ中国人民に美食自慢だなんて…レーニンは「飢えた民は蛇まで食べているのに豪華な食事なんて…!」と激怒&号泣し料理を投げつけ暴れた*1ことさえあるというのに……。

そんな、プロレタリア精神をどこかに置き忘れたとしか思えないフルシチョフの態度に中国側も大激怒。フルシチョフはもはや反マルクス-レーニン主義の修正主義者だ! ということで、毛沢東荘子の改変コピペを散りばめた壮絶リリックですかさず応戦!バトルの中で磨き上げられたマオのスキル。研ぎ澄まされたリリックが中国人民の胸に突き刺さる!MAOMAO illskill!

suck コミンテルン な昨今
お肉とおイモに満腹 ご満悦 プチブルの演説
say wack! 奴ら性格最悪 へたれ発言連発 俺らは世界を変革 *2


激しい舌戦を繰り広げているに違いない毛沢東とフルシチョフ

写真:激しい舌戦を繰り広げているに違いない毛沢東フルシチョフ
フルシチョフ「оиiкц оiмо цма цма!!」
毛沢東「只是肉芋自慢的発言w激烈可笑wwwww修正主義者非常悲惨wwwww」


実際には絶対にこんなことは言っていない、というか上のセリフはロシア語でも中国語でもないのですが、とにかく、こうした悪夢のようなディス合戦の果てに中国は文化大革命に至り、美食自慢などしようものなら問答無用で三角帽子をかぶせられ自己批判を強要の後ボコボコにされる等の憂き目にあう恐怖の国と化したのでした…。

この一連の議論の中で、フルシチョフ発言中にあるビーフシチューの訳語として、中国に元々ある牛肉とジャガイモの煮込み料理である「土豆烧牛肉」が採用され、それ以来「土豆烧牛肉」は共産主義の代名詞となったのでした。日本の中華料理店でもときどき「共産主義煮込み」という名前でメニューになっています。今日は、そんな味わい深い歴史を持つ中華料理「土豆烧牛肉」にレッツトライ!

作り方

材料

  • 牛肉(煮込み用)500g (ジャガイモとサイズを揃えてカット)
  • ジャガイモ 5個(1/4にカット)
  • 長ネギ 青い部分1本分
  • 香菜 お好みで数本
    • ショウガ薄切り5、6枚、ニンニク薄切り1片分、唐辛子2本(お好みで)、花椒 数個(お好みで)
    • 豆板醤 大1.5、甜麺醤 大1、醤油 大2、砂糖 大1/2〜1、酒 カップ1/2

中華風ビーフシチュー 下ごしらえ

まず、材料を上のような形で下ごしらえしておきます。ちょっと奮発して1パック800円の牛肉を今回買ったら、さすが高級品だけあってプラスチック製の謎花がついてきました。おもわず「いらねえよ!!!!!!!」と声にだしてシャウトしてしまいましたが、肉にタンポポの花を乗せる仕事の人に失礼な発言であった……と思い直し、とりあえず飾ってみました。ちなみに、この肉を買ったスーパーは独特の自由な雰囲気をもっており、例えば、仕事上がりの店員が「お先にイェーイ!」(イェーイ!)とハイタッチして、ノリノリで帰っていったり、「ねえ、このヒラメの刺身、エンガワも入ってるの?」と聞かれた店員が「みればわかるだろうが!!!!!!!!!」とブチ切れたりします。肉のパッケージングも自分たちでやっているっぽいので、きっとそんな楽しい店員たちが「この花……いい!」「高級感出た!」(イェーイ!)などと議論しながら考えたアイデアに違いない。
 

豆板醤を炒める


まず、ごくごく弱火で熱した油にショウガ、ニンニク、豆板醤を入れて香りが立つまで熱します。焦って火を強めてしまうと、あっという間に豆板醤が焦げてしまうので注意……!! 豆板醤は炒めて香りを出して使うと良いというのは、中国語検索エンジンのBaiduで料理の作り方を検索しまくった過程で得た情報なのですが、よく見たら日本のレシピ本にも普通に書いてありました……



シチュー用牛肉を焼いている


香りが立ってきたら、やはり弱火で肉とネギを入れて炒めます。お肉はそのままで食べられる程度までしっかり熱を通しておきます。ちなみに上の検索話ですが、私は中国語は全く読めないのでgoogle機械翻訳を駆使して乗り切りました。



肉を煮込む


しっかり炒めたら、残りの調味料と水カップ1を加え、沸騰したらクツクツと表面が弱く波打つ程度の火力でしばらく煮込みます。15分後ジャガイモを加え、その後水分が飛ぶまで煮込みます。このあたりで、肉のサイズが大きすぎることに気付く。しかも、料理用の酒と間違えて飲む用の高い日本酒を使ってしまい錯乱状態に……!



肉を煮込む!


錯乱により一時は料理の遂行が危ぶまれたものの、気を取り直して肉を一度鍋から出して一口大にカットしました。みなさんはこのようなケアレスミスをおかさないよう、私を反面教師にして気をつけてください。煮汁が減って、こんな感じになったらできあがりです!



共産主義風牛肉の煮もの

香菜を散らして盛りつけたらできあがり!!!

味はかなり辛いのだけれど、ジャガイモがほこほこ優しい感じで、香菜がさっぱりアクセントになって……という感じでとにかくご飯が欲しくなる感じでおいしいです!辛いのが苦手な人は、適宜調味料を調整してください。作り方は煮込むだけでカンタンだし本格的な味っぽくておいしいのに、牛肉が高すぎるということだけが欠点……。「全ての国民が毎日ビーフシチューを食べられる」ような理想社会は21世紀の日本においてもやはり実現していないのだった……。

とはいえ、この料理はお肉を鶏やラムなどお好みのお肉に変えてもおいしいそうなので、みなさんお手頃なお肉で是非試してみてください!!

*1:投げつけられた料理は後日スタッフが全ておいしくいただきました

*2:「土豆燒熟了、再加牛肉。不須放屁、試看天地翻覆」