どうしようもない東京に舞い降りたエンジェル 石原慎太郎(白)

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 4月10日に行われた東京都知事選で、261万票を獲得し4選を果たした石原慎太郎。高齢者を中心に絶大な人気を誇り合法的に独裁状態を続けているハイパー民主主義者である彼だが、歯に着せるべき衣を脱ぎ捨てているとしか思えないネイキッドな暴言の連発や、2億4000万円を超える海外出張をはじめとした都政の私物化など、批判も多い。

 特に、東日本大震災に関して「日本人のアイデンティティーは我欲。この津波をうまく利用して我欲を1回洗い落とす必要がある。やっぱり天罰だと思う」と述べた発言は、もはや同じホモ・サピエンスの言動とは思えない心無さ……。そのような暴言が問題とされている状況でさえ、開票と同時に当確をキメる慎太郎の横綱相撲ぶりに絶望した都民は数知れない。

 しかし、一見いかに邪悪そのものにみえる人間でも、心の奥底には優しい心を秘めているもの……。都知事としての石原が注目を集める一方で、都内を人知れず徘徊し、陰ながら都知事としての慎太郎の罪を償う活動を続けている、もう一人の慎太郎の存在はあまりにも知られていない。今回は、都知事から幽体離脱したピュアな魂であるといわれている石原慎太郎(白)氏に密着した。

 

憂いに沈む乙女 石原慎太郎(白)

 取材班が慎太郎(白)氏へのコンタクトに成功したのは、奇しくも都知事選翌日。待ち合わせ先である都内某ホテルの一室に足を踏み入れると、そこには石原都知事の4選を告げる新聞を眺めながら、憂いに沈む慎太郎(白)氏の姿があった。

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 「どうして……また4年間……」「つらい。もう死にたい」


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 思い出したかのような唐突さでどこからか札束を取り出し、数え始める慎太郎(白)氏。聞けば、当面の生活費であるという……。生計はどのように立てているのかを尋ねると、佐川急便のアルバイトとの答え。

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 取り出したお金は計100万円。いったい何に使うつもりなのだろう?

 

どこまでも白い男 慎太郎

 次の日、彼が向かったのは郵便局。ゆうちょに預金でもするつもりなのか……。

 "東京の顔"である都知事と同じ顔の慎太郎(白)氏。歩いているととにかく目立つ。この日も、すれ違う人々がみな驚きのまなざしで振り返っていた。「ボランティア参加したこともあったのですが、私の顔を見ると、みんな驚いて……かえって迷惑をかけてしまって……」「私は何の役にも立たない人間なんです……」と悩む慎太郎(白)氏。控え目な性格のようだ。

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 郵便局に入ると、何か手続きを始めた。

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 どうやら、日本赤十字にあてた東北大震災への募金のようだ。途中、慎太郎の「慎」の字がわからずカメラマンに尋ねるというトラブルも。自分の名前なのに……国語が苦手なのだろうか? 芥川賞も受賞した文学者である都知事とは対照的だ。

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 いつも、このような募金をしているのかを尋ねると次のような答えが返ってきた。

「そういう気持ちはあるが、生活が苦しくて難しい。今回だって、震災に関し都知事が吐いた暴言の償いに少しでもなればという気持ちで募金しているが、正直言って、たったこれだけの額では到底……」

「そもそも、私は募金というシステムそのものに対して懐疑的なんです。気まぐれに施しをすることもできるし、取りやめることもできる。そういった決定権を握っている状態というのを権力とよぶのなら、募金もエゴイスティックな権力行使にすぎません。実際、援助を受ける側は感謝することや謙虚であることを強いられる現実もあります。私たちが安穏と暮らしている一方で、理不尽な不運や貧しさに苦しんでいる人たちがいる。このような格差を正当化する理由は全くないのだから、本来、再分配は税金を通じた強制力ある形でなされるべきではないでしょうか。ボランタリーな再分配というのは、選択肢の豊富さによって生じる権力構造の問題にメスを入れることのできない、欺瞞的なやり方ですよ……」

 何を言っているのかよくわからないが、どうやら、単に純粋なだけでなくかなりセンシティブかつナイーブな性格のようだ……。

 

慎太郎(白)のひそかなたのしみ

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 石原慎太郎(白)氏は文学オッサンでもあり、佐川急便のシフトが入っていない休日に、喫茶店で読書を楽しむのが唯一の楽しみなのだそう。とはいえ、石原都政が始まって以来、忙しくてほとんど休みがとれない状況だとか……。彼がはやくのんびり休める日が一刻も早く訪れることを、願ってやまない。

 

thanks!

 今回の撮影は、リボンシトロンさん(http://flavors.me/ribboncitron)にお手伝いしていただきました! 素晴らしい勇気と提案力でガンガン撮影を進めていただけて、本当にたすかりました。ありがとうございます! また、快く撮影に協力してくださった郵便局のみなさま、本当にありがとうございました!